11

8月

2011

「えのき」・再デビュー大作戦!

 

 

えのきを鍋や汁ものの具材として重宝したのは一体誰なのか?あまりにもぴったりで、いつしか「鍋といえばえのき」という定番に。シャキシャキした食感、淡泊で癖のない味。色白で、他の食材との相性もグー。あまり出しゃばらないという持ち味。

歯にはさまると「ちょいと困ったな」ということはあるにしても、はまりすぎると役柄にバリエーションがなくなってしまうという悲劇を産む。

華々しく登場し、一躍時代の寵児。ところが、鍋奉行はえのきを溺愛し、悲しいかな、それ以外の舞台では登用されないという悲哀を生んでしまった。

夏場は半分しか登用されない。この窮地を何とかしようと立ちあがったのが花のソムリエ軍団。鍋奉行からえのきを奪い返し、自由の身に。役柄がないかと知恵を絞り、共演者をいろんな分野から抜擢。

「小松菜と海苔・カレーサラダ・ドレッシングの具材・カルボナーラ・なめたけ・魚のすり身、つるむらさき・レタス・カマンベール・雑炊・ソーメン」など、野菜&さかな&チーズ&穀物&麺類界の皆みな様とのコラボを企画。

「えのきを干して、炊き込みご飯」などひと手間をかけ、各界各層から国外まで、有名、無名、普通の方々をかき集め、共演させるという、大旦かつせんさいな発想。

「パピヨット」に至っては、「コレハ、ドウイウイミデスカ?」と、得意の語学力を駆使して聞かなければわからない料理。「包み焼き」という手法で、普段は切って捨てている「石づき」と呼ばれる根っこの部分も見事に使い、えのき料理コンテストの栄えある一等賞を射止めるという離れ業。

めでたし、めでたし、というのはまだ早い。えのきの再デビュー作戦は始まったばかり。えのきの出番を増やし、再び脚光を浴びる舞台設営はどうにかできたもの、皆みなさまのますますのご愛顧にえのきの未来がかかっているのです。

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25

11月

2010

鮮度

 

 

 

 

「アグリコラボいとしま」と題した第一回目のワークショップ。暑かった夏の余韻を十二分に残した924()、九州大学伊都キャンパスで開催されました。主催者は糸島農業産学連携推進協議会という、少し堅そうなネーミングの団体。

糸島郡志摩町でハーブを栽培している久保田さんは、日本農業大賞天皇杯を受賞されるほどの凄腕。福岡県内はもとより、全国的にも有名な生産者です。この協議会の会長である久保田さんとは、二十年以上の付き合いをさせていただいているというご縁から、私も話題提供者として参加させていただきました。

テーマは「鮮度保持」ということで、生産者、流通業者、消費者、研究者の四者がそれぞれの立場から「鮮度」について意見を述べ、それに対して参加していただいた皆さんから質問などを頂戴し、問題を考えていこうという趣旨でありました。そこで鮮度について。  

青果物の鮮度を考えた場合、収穫時を100とすると、その後は必ず低下します。原因の一つ目は呼吸作用。収穫後は水分や養分の供給はないのに呼吸作用だけが活発に続くので、品質劣化が進むのです。なかでも鮮度劣化が激しいのがスイートコーン。市場では、収穫した翌朝に卸売しますが、その日の内に小売店で販売してもらわないと鮮度劣化が進みます。「ブロッコリー・ほうれん草・アスパラガス」なども呼吸作用の影響を受けやすい野菜。「じゃがいも・玉葱・さつまいも・にんにく」などの土物類は呼吸量が少ないので鮮度劣化は少ないようです。

二つ目は蒸散作用。野菜は約9割が水分なので、重量的に3~5%の水分が失われると葉に萎れ(しおれ)がでます。さらに進むと色が変わる等、目で見て分かる状態になります。

三つ目にエチレンという気体の植物ホルモン。果実に多いのですが、リンゴが出すエチレンガスはキィウイの熟度を進めます。輸送するときや保管するとき、青果物の組み合わせが悪いと熟度が進み、過熟させてしまうことがあります。というわけで、「呼吸作用・蒸散作用・エチレン作用」の三点が「鮮度保持」の大きなポイント。

もうひとつありました。収穫後の野菜は横にすると上に立ち上がろうとします。人の手により土から離されても、なお成長しようとします。そこで、成長点が上を向くように、段ボール箱の中に立てて収納し、そのままの状態で輸送・保管することが望ましいのです。青ねぎや軟弱野菜である「ほうれん草・シュンギク」なども立てて輸送し、市場の冷蔵庫でも立てて保管します。仙台に「曲がりねぎ」という白葱がありますが、あえて曲げることで旨みを引き出す栽培方法もあります。

野菜の生理活性や蒸散作用、成分変化などは低温によって効果的に抑制されますが、野菜の中には、低温によって変質、腐敗などの低温障害が発生するものがあるので要注意。「ジャガイモ・サツマイモ」などの土物、生姜は風邪をひくといわれますので、常温で保存してください。バナナも冷蔵庫に入れたら風邪をひきますゾ。

 

 

 


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14

8月

2010

緑肥作物

 

 

 今回のテーマは緑肥作物のことです。有機物の補給を主な目的として、土壌にすき込むために作付ける作物のことをいいます。吸肥力の強いソルガムやトウモロコシなど、イネ科の作物です。この緑肥作物を2ヶ月前後栽培し、種子が実る前に刈り取り、トラクターで圃場にすき込むのです。すき込んだ後は定期的に「耕うん」して分解を促し、1ヶ月ほど置いてから、レタスなどの野菜の種まきや定植を行うという手法です。
 

 土壌の中に塩類が集積したハウスでは、緑肥作物を刈り取って茎葉を持ち出せば除塩効果があります。この場合の緑肥作物をクリーニングクロップと呼びます。クロップは穀物ですから、直訳するならば、「穀物で土壌を洗濯する」という意味になりますよね。

 

 ここでいう除塩しなければならない塩類とは塩のことではありません。「カルシウム・マグネシウム・カリ・ナトリウム・硝酸・硫酸塩素」などです。ずいぶん、色んな成分がありますぞ。

 

 7月末、気温36度を越える暑さの中、島原半島に出向きました。この地は「馬鈴薯・人参・レタス」の有数の産地です。普賢岳の噴火で大変な被害を蒙った地域でありますが、復興は進み、道路も整備され、野菜生産地として見事に復活しています。私は、この地のレタス生産農家の協力をいただき、「GAP」という農産物の安全性を「生産工程管理」という手法を使い、安全性を科学的に根拠付けるという事業推進に携わっています。

 

 その折に、圃場を視察させていただきましたが、緑肥作物の「ソルガム」が植えられていました。7月の始めに種を播いたそうです。この緑肥作物は8月末か9月の始めに刈り取られ、そのあとにレタスが定植されます。ネコブセンチュウなどの病害虫を駆除することが目的です。

 

 周囲を見渡すと、トウモロコシが植えられている圃場やひまわりが植えられている圃場もあり、土壌改善のために様々な農業技術が駆使されていました。黄色い花を咲かせるマリーゴールドも土壌改良に有益ですが、花に虫がつくので採用していないとのことでした。

 

 レタスはキク科の野菜で、何と牛蒡や春菊と同じ仲間です。秋から翌春までレタスを栽培していた土壌を改善するためには、イネ科の植物が活躍します。イネ科の植物は、サッカーに例えるならば、アシストというより、サポーターともいえる存在です。

 

 日本は稲作が基本ですが、圃場を水田状態と畑状態に交互に繰り返し、稲と野菜などの作物を栽培する方式を「田畑輪換」といいます。水田にしたときの水が溜まった状態と畑にしたときの乾燥状態の繰り返しにより、土壌成分が改善され、土壌病害虫が死滅したりすることで、土壌改善が図られます。伝統的な日本農業は、理にかなった素晴らしい農法です。

 

 種を播けば勝手に野菜が生長するなどとは思われていないでしょうが、曲がった野菜が有機だとか、「農薬がね」というように、一方的に皮相的に、表面的にしか農業をみていない消費者が多いような気がいたします。目には見えないところに真実や真髄があるのは物事の本質でありますが、野菜も同じことだといえますが、如何でしょう。

 

 

 

 文責:福岡大同青果(株) 営業促進部 部長 寺田秀三

福岡大同青果(株)は福岡市中央卸売市場青果市場の卸売会社で、農林水産大臣から卸売業務の許可を受けています。福岡市場の開設者は福岡市役所。取扱金額は約560億円、数量は約30万トン。福岡都市圏の約220万人へ青果物を供給する市場です。

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11

5月

2010

最小養分の法則

 

 

 

 日本では江戸時代の末期ですが、十九世紀の中頃、「ドイツのリービッヒ」によって発見されました。植物の生育には「窒素・リン・カリ」をはじめ、様々な栄養素が必要です。いくら養分に富んだ土壌であっても、何か一つの栄養素が足りないと、植物はその栄養素の量に応じた生育しかできず、他の栄養素は無駄になってしまうというものです。これが、生育に必要な元素の中で、「供給割合の最も少ないものによって支配される」という「最小養分の法則」です。

 

  栄養のバランスが大事なのは私達の食事と同様で、植物の食事である肥料も例外ではありません。「少ないものに支配される」という植物における栄養素の関わりは、自然界の摂理です。人間社会では少数派を排除する傾向が強いのですが、少数派(マイノリティ)が基準になる社会の実現は、人類の平和な未来を拓く鍵かもしれません。
 

  「窒素・リン酸・カリ」は三大栄養素。「窒素」は植物を成長させる作用があり、葉越(はごえ)と呼ばれ、葉を大きくします。過剰に与えると植物が徒長し、軟弱になり、病害虫に弱くなります。「リン酸」は花や実に影響を与えるので花肥(はなごえ)、実肥(みごえ)といわれ、「カリウム」は根の発育に大きな力を発揮し、根肥(ねごえ)と呼ばれます。

 

  先日、NHKの番組で、「都会に住むOLの一日の食事風景」を放映していました。「朝食はメロンパン、昼食はアイスクリーム、晩御飯はたこ焼き」というものでした。また、紹介されていた年配の大学の先生は三食ともカップ麺を食べていました。その代わり、といえば変ですが、手の平一杯にサプリメントを掴み、一気に口に運んでおられました。
 

  極端で皮相的な一場面かもしれませんが、現代の食を廻る一面を垣間見たようです。「一日に400gの緑黄色野菜を食べよう」というスローガンがとても空しく響きます。現代の食は、もはやのっぴきならないレベルにまできてしまっているかもしれません。

 

 

 

 文責:福岡大同青果(株) 営業促進部 部長 寺田秀三

福岡大同青果(株)は福岡市中央卸売市場青果市場の卸売会社で、農林水産大臣から卸売業務の許可を受けています。福岡市場の開設者は福岡市役所。取扱金額は約560億円、数量は約30万トン。福岡都市圏の約220万人へ青果物を供給する市場です。

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4月

2010

親の意見となすび(茄子)の花は、千に一つの無駄もない

 

 

茄子にまつわる故事は意外に多い。人を罵倒するときにも使われる。「このボケ茄子」とは何とも口汚い。秋になり、茄子もいよいよ終期を向かえると、色のややぼけた茄子しかならない。その茄子を持ち出し、少々血の巡りの悪い輩(やから)や、相手の「どじ」を罵る(ののしる)言葉として使われた時代もあったそうな。

「嫁に食わすな秋なすび」とは、姑(しゅうとめ)の嫁いびりの定番。「秋に収穫する茄子は、実がしまって味が良く、嫁には食べさせたくない」という説がある。一方で「秋茄子は身体を冷やすとか、茄子には種が少ないので、子宝に恵まれないことを気遣ってからだ」との説もある。一体どっちやら、なんともややこしい。

「一富士二鷹三なすび」というのもある。数年ほど前に、NHKの大河ドラマで「元禄りょうらん」が放映されていたが、その時代は、徳川5代将軍綱吉。子宝に恵まれない綱吉は、生母・桂晶院の勧めで、綱吉が犬年生まれということから、「殺生が良くない」と、天下の悪法「生類哀れみの令」を作らせる。

一説によると、桂晶院は八百屋出身であったので、そのようなことを進言したという珍説も。そんなこともあってか、ある年の秋、野菜の価格が高騰した。それもたいへんな高値になったという。そんなことから高い物の例えとして、「一富士二鷹三なすび」というように、晴れて「高いものの」仲間入りと相成った次第。
 
「親の意見となすびの花は千に一つの無駄もない」とは、いささか教訓めいた言葉。これも茄子の着果率の高さを引用している。親の意見に無駄がないかどうかはともかくも、茄子の着果率が高いことからこのように例えられる。

着果率とは、「花が咲き、それが実になる確率」のこと。実際の茄子の着果率は3分の1くらいだといわれる。だとすると、親の意見もその程度ということなのかも。「親の権威が低下している」という昨今の風潮からすると、残念ながらもう少し低いかもしれない。というわけで、子供に説教するときは、ご用心、ご用心。

 

 

 

 文責:福岡大同青果(株) 営業促進部 部長 寺田秀三

福岡大同青果(株)は福岡市中央卸売市場青果市場の卸売会社で、農林水産大臣から卸売業務の許可を受けています。福岡市場の開設者は福岡市役所。取扱金額は約560億円、数量は約30万トン。福岡都市圏の約220万人へ青果物を供給する市場です。

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2月

2010

カレー三点セット

 

 「いも・玉・人参」といえばカレー三点セット。日本人は「おこちゃまもおいちゃん」も、みんなおしなべてカレーが大好き。ということで、香椎駅前の「みゆき通り」という商店街の一角に、この三種の野菜しか売らない八百屋がいたという伝説までも残る。それほど、必要性が高く、今にあってもその地位はゆるがない。
 

 数ある野菜の中で最も位の高い名前を持っているのがじゃがいも。「メークィーン」とは5月の女王。16世紀の西洋、とある地方で5月の収穫祭が開かれた。祭りとなれば何かシンボルを仕立てあげねばならぬ。そこで「いも」の女王を選ぶ。間違ってはなりませぬぞ。「いもねーちゃん」ではなく、「いも女王」なのである。

 

  荒地でも育ち、なんど飢饉を救ったことか。まさに西洋のさつま芋。西洋では大地のりんごと呼ばれる。ビタミンCが多いからだとのこと。

 

  ジャガイモの語源は、ジャワから来たタライモという説がある。馬鈴薯とは、馬の首につける鈴に似ていたからとか。うまいことつけたものだ。日本では、明治の中期に川田男爵が病気に強い品種を導入されたことに敬意を表し、丸馬齢署を「男爵」と名付けた。西洋に負けず、日本でも相当に高い位ですぞ。

 コロッケにはマッシュしやすい「丸」、肉じゃがなど煮物には煮崩れしにくいメーク。というわけで、浪速は丸、博多はメークが好まれる。
 

  数ある野菜の中でもこんなに多彩で意味のあるネーミングを持つ野菜は見当たらない。名前にも味がある野菜達は歴史の中で栄えある名前を頂戴しながら生きぬいている。紳士、淑女の皆様、たかが「いも」と、侮らないようにご用心めされたい。

 

 

 文責:福岡大同青果(株) 営業促進部 部長 寺田秀三

福岡大同青果(株)は福岡市中央卸売市場青果市場の卸売会社で、農林水産大臣から卸売業務の許可を受けています。福岡市場の開設者は福岡市役所。取扱金額は約560億円、数量は約30万トン。福岡都市圏の約220万人へ青果物を供給する市場です。

 

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27

11月

2009

「博多かつお菜」~消えゆく伝統野菜~

  枕詞に「博多」のついた名物は数多く、稀少ですが野菜にもあります。

 

「かつお菜があるけん博多たい」とは言いませんばってん、

博多の雑煮、かつお菜がなくては語れません。

「勝つ」に通じることから縁起を担ぎ、正月にふさわしい野菜とされ、

年末年始は市場でも商店街でも引っ張りだこという人気者。

出汁が良く出ることから「鰹魚菜」・「勝女菜」とも称され、

語呂合わせの良い野菜なのですぞ。
 

 

 されど、皆様から「ちやほや」されるのはこのときだけ。

年末年始以外は見向きもされず、寂しい日々というのが現実。

 

今日では、作付面積は約二町三反余り(約2万3,000㎡)、

生産者も十名前後というのが実情。

 

使う用途が雑煮だけに限られ、12月から2月までが出荷時期と限定されており、

消費が激減するのは伝統野菜の宿命なのかもしれません。

 

 葉を一枚、一枚かいで収穫する独特の方法、ちぢれた葉、

やや苦い大人の味」など、 灰汁と個性は強烈。

「おひたしや油いため」など簡単な調理でなかなかうまいのに、

なぜか普段使いされません。雑煮御用達という印象が強すぎるのでしょう。

 

 

 そんなこんなで、今やかつお菜は風前の灯。

「生産が先か、消費が先か」という「鶏と卵」論争をしても始まりません。

 

どうすれば良いのか。

 

 

 そこで、紳士淑女の皆様にお願い。

「ひと・もの・かねをあまり使わないエコ作戦」に手を貸していただ きたい。

 

 

 なーに、簡単、簡単。名づけて「かつお菜ください!」作戦。

 

食事に行ったときはかつお菜の料理を注文。

「かつお菜を使った野菜料理を一品」とオーダーすること。

自宅で一週間に一度はかつお菜の料理を食べる。

 

最寄りの店でかつお菜を置いていない場合がありますね。

ここがミソですぞ。

 

ちゃんと、「かつお菜が欲しーい。来週でもいいから、ネ」と

やんわりと店の人に伝えてください。

これでOK。ぜひ、ぜひ、実行してみてください。

  

文責:福岡大同青果(株) 営業促進部 部長 寺田秀三

福岡大同青果(株)は福岡市中央卸売市場青果市場の卸売会社で、農林水産大臣から卸売業務の許可を受けています。福岡市場の開設者は福岡市役所。取扱金額は約560億円、数量は約30万トン。福岡都市圏の約220万人へ青果物を供給する市場です。

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10月

2009

救荒作物

 あまり耳にしない言葉ですが、「救荒作物」とは、「米・麦」のように主食となる作物が凶作のときにも生育し、収穫できる農産物のこと。

 

天候不順に強い「粟・ひえ・そば・甘薯・馬鈴薯」などがその代表的な作物であり、生命の糧として人類の危機を救ってきた作物です。

 

 

 人に例えるならば、「縁の下の力持ち」といった「地味だけど頼りになる人」のことでしょうか。

目立ちたがり屋さんが多い昨今、自我が強く、数的にも多い、いわゆる「自己中族」が繁栄している現代にあっては、希少価値のある方々にも例えられます。

 

 

 時代は移り、今日では「美味いか、美味くないか?」が食べ物の価値を左右します。「多収に旨いものなし」が本来の性質です。

農業技術を駆使し、品種改良した「甘薯」は甘く、ほくほくした食感など、食味も改善され、「収量よりも味」という現代の価値観が反映されています。

 

 

 九月初めに、岩手県九戸郡軽米町の岩手県農業研究センター「県北農業研究所」を視察させていただきました。この地域は夏場でも冷涼な気候を生かし、ほうれん草の一大産地が形成されており、研究センターは研究や生産指導を行う農業研究施設として重要な役割を果たしています。

 

 

 福岡を発つときの最低・最高気温は20度から30度でしたが、

岩手県では、10度から20度が最低・最高気温でした。JR二戸駅に降りたとき、気温は15°くらいでしたので、思わず「ぶるっ」とくるほどの体感温度でありました。10度にも及ぶ温度差には驚かされました。

 

 宿泊地も、軽米町(かるまいまち)で、山間(やまあい)の清潔でコンパクトな町でした。ちょうど翌日、「全国雑穀サミットinかるまい」が開かれるということで賑わっていました。お世話になった滝村屋旅館で、女優の竹下景子さんに良く似た女将さんに、このサミットの意義などを聞くことができました。

 

「白米だけよりも、雑穀を入れたご飯を食した方が健康にも良い」ということで、

この地では、「粟、ひえ、アマランサス(南米産の赤い雑穀)」などの雑穀を栽培され、米に混ぜて、雑穀米として普段に食されていました。

 

 左党には有難いのですが、町興しの一環ということで、

雑穀焼酎まで造られています。すっきりとした雑味のないストレートな飲み口で、盃を重ねても最初の感覚を保持できる飽きのこない飲み心地でした。試飲されることを是非、お勧めしますが、私のようなブレーキの甘い飲兵衛は、飲み過ぎないように注意が肝要です。

 

 

 雑穀を入れた米を炊き、雑穀米としていただき、雑穀の健康機能性を生かすというものですが、

軽米町の長老たちに言わせると、「ようやく銀シャリが食べられるようになったのに、今になって、またしても雑穀かい?」という声も聞かれ、この地のかつての実情が偲ばれます。

 

 「やませ(=山背)」という春から秋にかけて、オホーツク海気団は冷たく、湿った北東風をこの地に運びます。

この冷たい風が農作物に打撃を与え、いまでいう農業指導員が本職だった宮沢賢治さんが、童話を書く寸暇を惜しんで、冷害に強い米の品種を作るため汗と涙を流した土地柄でもあります。

 

 

 雑穀の素晴らしさを否定する気も、「救荒作物」が必要とされた時代の再来を望むわけでもありません。

さりながら、美食家と食通が溢れる今日、他方で「グルメとダイエット」という二大勢力が巷を闊歩する現代は、なんだかとてもへんてこな時代なのかなと思ってしまいます。

 

 いずれにしても、食味が最優先される価値観は、素直に受け入れられません。

魚や家畜、野菜などの生命をいただくことでしか、生命を維持できない私達の宿命を忘れてはならないと思います。

秋の夜長に名月を愛でながら、食の原点を振り返り、あれこれと思いを馳せてみるのも一考ではないかと思う次第でありますが、いかがでしょう。

 

文責:福岡大同青果(株) 営業促進部 部長 寺田秀三

福岡大同青果(株)は福岡市中央卸売市場青果市場の卸売会社で、農林水産大臣から卸売業務の許可を受けています。福岡市場の開設者は福岡市役所。取扱金額は約560億円、数量は約30万トン。福岡都市圏の約220万人へ青果物を供給する市場です。

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