2010年

8月

14日

緑肥作物

 

 

 今回のテーマは緑肥作物のことです。有機物の補給を主な目的として、土壌にすき込むために作付ける作物のことをいいます。吸肥力の強いソルガムやトウモロコシなど、イネ科の作物です。この緑肥作物を2ヶ月前後栽培し、種子が実る前に刈り取り、トラクターで圃場にすき込むのです。すき込んだ後は定期的に「耕うん」して分解を促し、1ヶ月ほど置いてから、レタスなどの野菜の種まきや定植を行うという手法です。
 

 土壌の中に塩類が集積したハウスでは、緑肥作物を刈り取って茎葉を持ち出せば除塩効果があります。この場合の緑肥作物をクリーニングクロップと呼びます。クロップは穀物ですから、直訳するならば、「穀物で土壌を洗濯する」という意味になりますよね。

 

 ここでいう除塩しなければならない塩類とは塩のことではありません。「カルシウム・マグネシウム・カリ・ナトリウム・硝酸・硫酸塩素」などです。ずいぶん、色んな成分がありますぞ。

 

 7月末、気温36度を越える暑さの中、島原半島に出向きました。この地は「馬鈴薯・人参・レタス」の有数の産地です。普賢岳の噴火で大変な被害を蒙った地域でありますが、復興は進み、道路も整備され、野菜生産地として見事に復活しています。私は、この地のレタス生産農家の協力をいただき、「GAP」という農産物の安全性を「生産工程管理」という手法を使い、安全性を科学的に根拠付けるという事業推進に携わっています。

 

 その折に、圃場を視察させていただきましたが、緑肥作物の「ソルガム」が植えられていました。7月の始めに種を播いたそうです。この緑肥作物は8月末か9月の始めに刈り取られ、そのあとにレタスが定植されます。ネコブセンチュウなどの病害虫を駆除することが目的です。

 

 周囲を見渡すと、トウモロコシが植えられている圃場やひまわりが植えられている圃場もあり、土壌改善のために様々な農業技術が駆使されていました。黄色い花を咲かせるマリーゴールドも土壌改良に有益ですが、花に虫がつくので採用していないとのことでした。

 

 レタスはキク科の野菜で、何と牛蒡や春菊と同じ仲間です。秋から翌春までレタスを栽培していた土壌を改善するためには、イネ科の植物が活躍します。イネ科の植物は、サッカーに例えるならば、アシストというより、サポーターともいえる存在です。

 

 日本は稲作が基本ですが、圃場を水田状態と畑状態に交互に繰り返し、稲と野菜などの作物を栽培する方式を「田畑輪換」といいます。水田にしたときの水が溜まった状態と畑にしたときの乾燥状態の繰り返しにより、土壌成分が改善され、土壌病害虫が死滅したりすることで、土壌改善が図られます。伝統的な日本農業は、理にかなった素晴らしい農法です。

 

 種を播けば勝手に野菜が生長するなどとは思われていないでしょうが、曲がった野菜が有機だとか、「農薬がね」というように、一方的に皮相的に、表面的にしか農業をみていない消費者が多いような気がいたします。目には見えないところに真実や真髄があるのは物事の本質でありますが、野菜も同じことだといえますが、如何でしょう。

 

 

 

 文責:福岡大同青果(株) 営業促進部 部長 寺田秀三

福岡大同青果(株)は福岡市中央卸売市場青果市場の卸売会社で、農林水産大臣から卸売業務の許可を受けています。福岡市場の開設者は福岡市役所。取扱金額は約560億円、数量は約30万トン。福岡都市圏の約220万人へ青果物を供給する市場です。